時は明治――役者をやめた葵は、生業も素性も誰も気にしないこの町で彫師となっていた。「おいらの足の死に化粧…弔いをお前が飾ってくれないか」と病気で足を失った田之太夫が訪ねてくる。田之太夫からは終わりに向かう者だけが纏う匂いがした。葵の俯く顔を見て「お前の悪夢すべてを俺によこせ」と葵を抱き寄せる……。