明治三十六年、満洲と朝鮮の国境付近に日本から「好太王碑」調査に訪れた安積亮(あずみ・りょう)は、ロシア兵に捕らわれたが脱出に成功。現地で出会い心を通わせたハナという女性と別れるも、親のはからいで諏訪大社の巫女・翠(みどり)と祝言をあげた。そして日露戦争が始まり一学生といえど国家の思惑に翻弄される中、安積は四世紀末・神功皇后の時代の夢を見る。確かに神功皇后の渡海はあったのだと。そして皇后の子の父親とは――。