昭和38年、春。一人の少年が青雲の志をいだいて、四国西条を後にした。一路大阪へ。ときに浦上龍二、十五の出発(たびだち)であった。龍二の集団就職先は布施市の大倉工業であった。昼は工場で働き、夜は定時制高校に通う龍二は、ある日、街中でヤクザの抗争を目撃する。一人で数人の相手に立ち向かい一歩も後退しない男、死を恐れない姿に血の湧き立つ思いをしたのだった。そして、後年この感動が龍二の生きる方向を大きく決定づけた…。浦上龍二の風雲青春譜!